2017年4月5日水曜日

地球と生命の歴史④「海と大気のはたらき」

 地球は、太陽からほど良い距離にあったので、水を液体の状態で保っておくことができた。
 液体の水、つまり海水は、大気中の二酸化炭素を吸収し温室効果を軽減する。地表の温度を下げるとともに、二酸化炭素を炭酸塩に変えて海底に沈めるはたらきをした。
 原始の海水は、大気中の亜硫酸や塩酸などの影響で強い酸性だった。しかし、地殻の、鉄・ナトリウム・カルシウムなどを溶かすことでしだいに中和され、現在の成分に近づいていった。

 水は、他の物質を溶かし込むことで様々な化学変化を引き起こす。海で最初の生命が誕生したと考える科学者は多い。また、温度を一定に保つはたらきもある。これは、原始の生命にとっても好都合だったに違いない。氷の水に浮く性質にも重要な意味があった。もし、氷が冷たい海底に沈んでいたらいつまでも融けずに、海水を冷やし続けていたと考えられている。
地球は磁気シールドによって太陽風から守られている

 原始大気の主な成分は、噴火で吐き出された二酸化炭素とアンモニアで、酸素はまだなかった。これらの気体を、地球に引き止めておくことができたのは、十分な大きさの引力に加えて、磁気シールドの存在も影響していた。磁気シールドは太陽風を遮り、大気が宇宙へ吹き飛ばされるのを防いでいる。

 大気には地表の温度変化を緩やかにするはたらきがある。そのため、大気のない月では、赤道付近の表面温度が、昼間は110℃なのに対して夜は−170℃にまで下がり、200℃以上の寒暖差が生じる。

 海と大気だけでなく、地球内部の状態も、生物にとっては重要だ。小さな惑星は冷えるのが速く、火山活動もすでに停止しているが、地球は現在も中心部が高温で、マントルが対流している。これによって起きる、大陸の移動や火山の噴火などが、気候の変動を生み、その後の生物進化が促された。
金星の厚い大気の下には活発な火山活動で
つくられた、さまざまな地形が見られる。

 海と大気のはたらきは、他の惑星のようすを見ると理解しやすい。地球より少し太陽に近い金星には水がない。昔は海が存在していたが、太陽からの強い紫外線によって大気中の水蒸気を分解され、すべての水が失われた。海水で二酸化炭素を吸収できないため、温室効果によって表面温度は500℃にもなる。また、地表での気圧も非常に高く硫酸の雲に覆われている。
 火星の重力は地球の約40%しかない。加えて、太陽風の影響を受け続けているため、二酸化炭素や水蒸気などの大気が宇宙空間に逃げてしまい、うすい大気と凍りついた水しか残っていない。そのため寒暖の差も大きく、赤道付近では昼と夜で約100℃の開きがある。

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