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東北地方太平洋沖地震から12年迎え、中学生に当時のようすを伝えようと考えた。ネットで得た情報を中心に、A4の理科通信3枚にまとめたうちの、今回はその2回目。
② 津波てんでんこ
片田教授が、釜石市の子どもたちに教えてきたのは、次の3つです。
1. 想定を信じるな
2. 最善をつくせ
3.率先避難者になれ
それぞれどんな意味でしょうか。
- 想定を信じるな -
ハザードマップとは、自然災害の起きやすい、特に気をつけなくてはいけない地域を示した地図です。仮に、自分の家がその中に入っていなくても、油断をしてはいけません。特に津波の場合は、第一波の予想が4mでも、それに続いて第二波が押し寄せると、2つの波が重なり8mになります。さらに第三波が来れば高さ10mの防潮堤があっても防ぎきれません。
- 最善をつくせ -
釜石東中学校に隣接する鵜住居(うのすまい)小学校では、はじめ校舎の屋上に避難していました。しかし、中学生が避難所への坂道を登っていくのを見て、自分たちも校舎を降り避難所へ行くことにしました。
さらに、その避難所よりももっと上の、高台まで逃げたことでみんな命を失わずにすみました。
- 率先避難者になれ -
「まっ先に逃げる」ということです。簡単そうで実際には難しいことのひとつです。「恥ずかしい」という気持ちや「家族や友だちを放って自分だけが逃げるなんて薄情だ」という気持ちが邪魔するのでしょうか。
それは、「正常性バイアス」のせいだと言われています。パニック映画では、大災害が起きるとひとびとがわれ先に逃げ出しますが。実際にそうなることは少ないのだそうです。危険が迫っても「自分だけは助かる」「たいしたことはない」という気がすることを「正常性バイアス」といって、心の平静を保つための大切な脳のはたらきです。
しかし、津波の危険があるときは、まず逃げることが最善の行動です。「早く逃げろ」と叫んで、まっ先に逃げる行動を示すことが、避難をためらっている人たちの、迷いを吹き飛ばす効果的な方法です。
- 津波てんでんこ -
第③の教えにかかわることですが、北陸地方では「津波てんでんこ」ということばが、古くから伝えられてきました。
逃げるときは人の心配をせず各自がてんでに逃げなさい、という意味のことわざです。親が子を探すうちに波にのまれて、共倒れになるのを防ぐための格言とも言われ、冷たい印象を受けます。
しかし、そうではなくて「今は姿が見えないが、あの子はきっと逃げている。必ず再会できる」といった我が子の判断力・行動力への信頼。「仮に困っても、周りのおとなに助けてもらっている」といった地域の絆への信頼を示した戒めとして知られています。
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