2017年4月5日水曜日

地球と生命の歴史⑤「生命の誕生」


 地球の誕生から約10億年が過ぎた35億年前、地球の歴史を1日に例えると、朝の5時19分、ちょうど日の出の時刻に地球最初の生命が誕生した。


 地球の誕生から約10億年が過ぎた35億年前、地球の歴史を1日に例えると、朝の5時19分、ちょうど日の出の時刻に地球最初の生命が誕生した。
 暗い海の深部でメタン菌は生まれた。太陽からの有害な放射線も、海水に遮られここまではとどかない。最初の生命にとって、深海は寒すぎる場所と思われるが、この海底には、地中から熱水が吹き出しており、それに含まれている化学物質がメタン菌のエネルギー源になった。

ストロマトライトの断面
 さらに10億年が過ぎた。1日に例えると、あいさつが「こんにちは」に変わる午前10時頃、光合成を行う生物、シアノバクテリアが誕生した。海面近くに住み、日光をあびながら二酸化炭素を吸収して酸素を吐き出した。酸素は、当時の生物にとっては有毒で、多くの生物が死滅させられたが、地球環境の大きな変化は、バクテリアだけではない様々な新しいタイプの生物が登場するきっかけとなった。
 シアノバクテリアは集団で生活する。粘液で砂を固めながら、上へ上へと伸びていき、何万年もたつとストロラマトライトと呼ばれるとても固いしま模様の石ができる。

 このような生命の誕生を、実験室で再現しようとした科学者がいる。アメリカのハロルド・ユーリーは教え子のスタンリー・ミラーとともに、複雑なガラス装置の中央に、水素、メタン、アンモニアなどの気体が入った大きなガラスびんを置き実験にとりかかった。
 これらは当時、原始地球の大気の成分と考えられていたものだ。それに、熱した水蒸気を送り込みながら高圧電流による火花を散らした。が、残念なことに何も起きなかった。このような実験を考えた科学者は、他にもいたと思われるが、実際にやってみようとは誰も思わなかった。成果が得られるまでに、何億年もかかると考えたからだ。

 ところが翌朝、ミラーが研究室に行ってみると、フラスコの水がピンク色に変わっていた。その後、一週間実験を続け、アミノ酸が合成されているのを確かめることができた。
 アミノ酸は、すべての生命にとって必要な、細胞の材料となる物質だ。二人の実験がきっかけとなって、多くの科学者が生命誕生の研究に取り組みはじめた。その結果、水中だけでなく大気中や隕石の衝突によっても、生命の材料のできることが確かめられた。

 しかしまだ、それらの材料から生命そのものを創り出せた人はいない。「生きている細胞」がどうやって生まれたのかは今も謎のままだ。それでも、現在では魔術的な力を借りなくても自然界のはたらきだけで生命は誕生できると考えられている。



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