2017年4月20日木曜日

脳のはたらき④「由来がわかる」「決まりがわかる」


《 ストーリーをつかむ 》
 子どもが、夏休みの終わり間際にやや厚めの文庫本を持って「この推理小説で読書感想文を書こうと思うのだけれど、なかなか書けない」と相談してきた。読み終わったのかを聞いたら「今、公園で死体が発見されたところ」なのだそうだ。それってほとんど最初じゃないの?

 推理物の多くは、ドラマでも小説でも謎をはらんだまま物語がすすみ、名探偵が最後に犯人の行動を時間の流れにそって説明することでトリックが解明される。身の周りのしきたりなどにも、由来を聞いて「なるほど」と納得させられることは多い。
 例えば、「賞状に句読点(「。」や「、」)が使われないのは、句読点の入った文章を目上の人に出すのは失礼との考え方があったから。句読点といっても、漢文を読みやすくするために使われる「レ」や「一」「二」などの記号のことで、読みやすくはなるが慣れた人には必要ないため、これらの記号のついた漢文を読んでいると「学のない人」と思われたのだそうだ。
 また、西洋のコンマやピリオドの影響を受けるようになった明治より以前は、もともと文章に「。」や「、」をつける習慣がなかったため、賞状や感謝状には敬意をこめて句読点を使わないのだそうだ。「なるほど!」

《 きまりに当てはめる 》
 アイザック・アシモフの有名なSF小説「われはロボット」は、次の3つのルール
① ロボットは人間を傷つけてはいけない。また、そのような危険を見過ごしてはいけない。
② ロボットは①に反しない限りで、人間の命令に従わなくてはいけない。
③ ロボットは①や②に反しない限りで、自分の身を守らなくてはいけない。
に従っているはずのロボットが、この「ロボット三原則」から逸脱した行動をとったように見えた事件について、その謎を解き明かしていく物語。
 この小説ではロボットの不可解な行動が、実はきまりを守ろうとした結果であることが明らかにされていくわけだが、「きまり」に従って物事が動いていることに気づくと、人間は「わかった」と感じ安心できる。一方で、そうでない場合にはわけが分からなくなり混乱してしまう。


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