2017年7月14日金曜日

永久機関の夢


 多くの人が、燃料や電池なしで永久に動きつづける「永久機関」を夢みてきた。そして、たくさんの才能・情熱・財産と時間がその発明のために注ぎ込まれた。

筒の中のラセンが回転して水を汲み上げるポンプになる。
その水が落ちながら水車を回すので、ポンプが永遠に水を
汲み上げ続ける、はずだった。  
アルキメデス考案


 しかし、永久機関はできなかった。その結果、あまりにも多くの悲劇が生じたので、フランスアカデミーはついに「今後いっさいの永久機関の発明を受けつけない」と発表した。ちょうどアメリカで独立戦争がはじまった1775年のことだ。

 なぜ、永久機関はできないのだろうか、1840年のある日、ロバート・マイヤーはふるさとへ帰る船の上で考えていた。「人間は栄養をとって体温を維持している。けれども、同時に栄養は運動のために使われているようにも見える。栄養は体温と運動、どちらに使われるのだろうか?」
てこの原理で、右側に強い力がはたらき車輪が回転を続ける、
はずだった。
レオナルド・ダ・ヴィンチ考案
 そのとき、彼の頭の中に「熱と運動は同じものではないか!」という考えがひらめいた。「そうか、熱と運動を別々のものだと考えるからわからなくなるんだ。同じ栄養から熱と運動の二つが同時に生まれることが、それらが同じものであることの証拠なのだ。」

 しかし、彼のこの考えは周囲に受け入れられず、彼は貧困と孤独のうちに死んでいった。が、彼は正しかった。永久機関が動かないのは、はじめの運動が熱としてしだいに失われてしまうためだ。
*1840年はペーリー来航の13年前


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