《 重力の話 》
鉄でできたクリップに糸をつけて、上から強い磁石でひっぱると、図のように宙ぶらりんにすることができるだろうか。コロンブスが、地球を逆回りにまわってインドや日本に行こうとしたとき、みんなは笑った。「もし、この地面がまるくて地球の反対がわにも人間が住んでいるとしたら、反対がわの人たちは地球から落ちてしまうはずだ」と考えたのだ。
しかし、これは笑った人たちの方がまちがっている。物質は上からでも下からでも、大きな力で引っぱられている方に動き出す。だから、引力で地球の中心に向かって引っぱられている裏がわの人たちも、外に向かって落ちる心配はない。
クリップから磁石を遠ざけると、クリップはポトンと落ちてしまう。地球の引力も磁力と同じように、距離が離れると小さくなる。地球の中心から距離が2倍になると、引力は4分の1になる。そこは、地表から6400kmの上空で、富士山の頂上より2000倍も高いところだ。人工衛星のとんでいるのがこのあたりだ。もし、富士山の頂上まで行ったとしても、1000gの物質が999gになるくらいの違いしかないので、私たちのくらしている範囲では何も影響がないと考えてよい。さらに、3倍のところまで上昇すると引力は9分の1になる。
《重さと質量》
引力は太陽や月などにもあるが、月は地球より小さくて引力も6分の1しかない。だから60gのものは、地球では60gぶんの力で引っぱられているが、月に行くと10g分の力でしか引っぱられなくて、おもさは6分の1になる。
天体だけでなく、じつは机の上の鉛筆と鉛筆どうしなど、どんな物のあいだにもお互いに引っぱりあう力がはたらいている。だから「万有引力」(ばんゆういんりょく)ともよばれるが、鉛筆や消しゴムのようなふつうの物どうしが引きあう力はとても小さいので、私たちのくらしている範囲では何も影響がないと考えてよい。
質量と重さは、ごっちゃにされがちだが、きちんと区別しなくてはいけない。60gの握り飯は、月に行くとおもさは6分の1になるが、食べればちゃんと60gぶんの栄養があって空腹も満たされる。だから単位も、質量(g)とおもさ(N)では別々のものが使われている。
仮説社の授業書「ばねと力」を参考にしました
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