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そこで、始めてイオンの勉強をする、中学生のための解説を考えた。前半は、一般的なイオンのでき方について書いており、後半で銅など「わかりにくい原子=遷移元素」について説明した。
《原子がイオンに変わるしくみ》
原子では、徒競走の選手がトラックを走るように、電子が原子核のまわりを回っている。徒競走と違うのは、1つのコースの中を複数の電子が走れるというところ。
ひとつのコースに入れる電子の数が、コース毎に決まっていて、いちばん原子核に近い第1コースには2つ。次の第2コースには8個まで入れる。
さらに、電子は内側のコースからつめて入らないといけないので、電子が3個の場合、第1コースを2個、第2コースを1個の電子が回ることになる。そのため、電子が3個あっても、第3コースには誰もいない。
コース毎の電子の定員は、第1コースから外に向かって2個、8個、8個、18個、18個・・・これらの数字は、周期表の上から、同じ列に並んでいる元素の種類を数えたときの、2個、8個、8個、18個、18個・・・と一致している。
電子の走るコースを知るには、シュレディンガー方程式をつかって計算するが、大変複雑でコンピュータを使っても、昔は答えが出るまでに1週間もかかっていたそうだ。
そこで、計算の結果を簡単に表すためのルールがいくつか考え出された。1コースに2個、2コースより外には8個ずつ入る。電子はコースを内側から埋めて行く。というのが、もっともよく知られているルールだ。
また、イオンのでき方や化学変化について考えるときは、一番外側のコースを回る電子の数が重要になることもわかった。だから、これらの電子には特別に最外殻電子という名前がつけられている。
原子には、その最外殻電子の数を、定員とぴったり同じにしようとする性質があり、足りない電子を外から持ち込んだり、逆に余分な電子を外へ追い出したりする。
《周期表の左から1列目の原子》H,Li,Na,Kなど
ナトリウム原子の電子配置 |
《周期表の左から2列目の原子》Be,Mg,Caなど
たとえば、カルシウム原子(Ca)では、電子の数が20なので、最外殻電子の数は20−(2+8+8)で2個。このような場合も、余分な2個を追い出そうとするので、カルシウムイオンはCa2+になる。
《周期表の右から2列目の原子》F,Cl,Br,Iなど
4コース、5コースのように原子核から遠くなると、コースに入れる電子の数が増え、それらが互いに影響を及ぼし合うので、電子の配置はもっと複雑になる。
4コースでは、同じコースの中がさらに3つの層に分かれており、各層には内側から10個、2個、6個の電子がそれぞれ入ることができる。ところが、このコースでは、「電子は内側からつめる」のルールに反して、まん中の2個の層から先に電子が入り、次にその内側の10個の層を電子が順に埋めていく。
そのため、カリウム(K)とカルシウム(Ca)は、これまでのイオンのでき方と同じに考えて良いが、ScからZnまでは最外殻電子が2個のままなので、イオンもみんな+2になる。銅イオンがCu2+となるのはこのためだ。ただし、元々が変則的なので、条件によっては、最外殻電子が3つあるような化学変化をする原子もあるので、ややこしい。
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