2019年2月16日土曜日

エジソンは直流推し


 発電機が発明されたばかりの頃、電灯はまだありませんでした。電気はメッキ工場が電気分解のために使うくらいだったので、直流電流が喜ばれていました。
 右の図は、初期の発電機です。磁石が回転すると、N極とS極が順番に、コイルに近づいたり離れたりします。その度に、電流の向きが変わるので、整流子を使って直流電流に変えています。

 エジソンが電灯を発明したとき、実用化されている発電機は直流用のものばかりでした。エジソン自身も巨大な直流発電機をつくり、110ボルトの電圧でニューヨークの町に7000個の電球をともしました。1882年のことです。

 電線には銅が使われます。電気抵抗の小さい物質ですが、長くなると無視できない大きさになります。そのため、エジソンの発電所も町のまん中につくられました。発電所から遠くなるほど、電球が暗くなってしまうので、なるべく平等な明るさにしたいと考えたのです。
 遠くまで効率よく電流を届けるには、高い電圧が必要になりますが、感電する危険も大きくなります。直流方式の弱点は、電圧を変えられないことでした。

 エジソンの発電所ができてから3年後、実用的な変圧器が作られました。それによって、遠くの発電所から送られてきた高圧電流を、工場や住宅では安全な電圧にまで下げて使用することが可能になりました。が、それは交流電流にしか使えなかったので、直流方式のエジソンにとってはうれしくないニュースでした。

 直流方式と交流方式の間で激しい対立が始まりました。エジソン側は交流電流の危険性をアピールするために、死刑囚の電気イスに交流方式を使用するよう、はたらきかけたりもしました。が、1891年に行われた実験で、論争に決着がつき、今では交流方式が電力業界の主流になっています。

 コンセントが交流なのは「コがつくから」ではありませんが、覚えるには便利ですね。電池は「チがつくから直流」と合わせて、使えそうです。


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