→ 次の関連記事
→ 目 次
助手は妹のカロラインで 食事や鏡磨きを、ドレス を汚しながら手伝った。 |
1757年、ドイツ生まれのフリードリヒ・ヴィルヘルム・ヘルシェルは戦争を嫌ってイギリスに移住し、ウィリアム・ハーシェルと名乗った。音楽家として成功していたが、趣味で始めた天文学に熱中するようになり、プロの天文学者へと転身した。自宅の裏庭で手作りの望遠鏡をのぞいているときに天王星を発見し、これは、彼の業績の中でもっとも有名な出来事になった。その34年後には、やはり手作りの口径47.5cm、長さ6mの望遠鏡で、銀河系がパンケーキの形であることをつきとめた。
星までの距離を測るために、もっとも明るい星シリウスまでの距離を「1シリオメートル」と名づけ基準にした。その方法は、距離が2倍だと明るさは4分の1になることを利用して、たとえば明るさが9分の1しかない場合、地球からの距離は基準の3倍、つまり3シリオメートルとした。星によって元々の明るさにバラツキのあることは承知していたが、簡単にするために「元々の明るさはどれも同じ」ということにして観測を進めた。
こうして、数百個の星の明るさをくらべ距離を算出して、結果を立体地図にまとめると、円盤の中央が少しふくらんだパンケーキ(=ホットケーキ)のような形が現れた。円盤の直径は1000シリオメートル、中央のふくらみの厚さは100シリオメートルとなった。
これによって、「天の川」と呼ばれる部分の正体がわかった。「天の川」とは、星空の中に見える、淡い河のようなひと筋の光の帯のことで、古代人からは「乳の道」(ミルキー・ウエイ)とも呼ばれていた。
たくさんの星がねり込まれた巨大なパンケーキを想像してみよう。透明な粉でつくられていて、中を透かしてみることのできるパンケーキだ。その端近くにある地球から、パンケーキの横の方向をながめると、1000シリオメートル先にある反対側の縁までが見通せる。そのとき、近くから遠くの星までが重なりあって、光の帯のように見えるはずだ。しかし、上や下など別の方向を見ても、そのような星の重なりは見えない。これが、天の川の正体だった。
「宇宙創生」サイモン・シン著 青木薫訳 新潮社を参考にしています。
0 件のコメント:
コメントを投稿