○ 宇宙が誕生したのはいつか?
宇宙の年齢を知る取り組みは、ハッブルの法則が発表される200年前、18世紀になって本格化した。手がかりとして、最初に選ばれた資料は旧約聖書で、アッシャー大司教の算出した「紀元前4004年10月23日土曜日」がもっとも信頼のおける値とされた。しかし19世紀にダーウィンの進化論が発表されると、進化には膨大な時間が必要なはずだと考える人々を中心に、地球と宇宙の年令を科学的に突き止めようとする活動がはじまった。
地質学者からは「堆積岩ができるのには数百万年が必要」や「高温でどろどろに融けた地球が冷えるのに2千万年かかる」などの意見が出された。やがて年代測定に放射性崩壊が使われるようになると、地球の年齢は5億年・10億年と、どんどん古くなり、現在では64億年と言われている。
天文学者として、この問題に取り組んだのはヴァルター・バーデで、第二次世界大戦後にアンドロメダ銀河までの正確な距離を測定しなおした。完成したばかりの200インチ望遠鏡によって、距離を知るための基準であるセファイドに2つのタイプがあることを発見し、アンドロメダ銀河までの距離が実際には、ハッブルの推定した距離の2倍であることがわかった。
アンドロメダ銀河を基準にして、他の銀河までの距離を推定していたので、この修正により、すべての銀河までの距離が2倍に広がった。そして、宇宙が現在の大きさまで膨張するのに必要な時間も、2倍の36億年ということになった。
さらに、その2年後にはアラン・サンディッジが、星のように輝く水素ガスの広がりを発見したことで、銀河との距離はさらに広がった。それにともなって、宇宙の年齢も増え100億から200億年の間となった。ずいぶんと幅はあるが、ともかくこれで宇宙の年齢より古い岩石の問題は解決した。
0 件のコメント:
コメントを投稿