被子植物の進路相談
◯ 被子植物には双子葉類と単子葉類がある
《 双子葉類 》
先生「将来はどんな仕事につきたいの?」
種男「僕の夢は、大きな木魚(もくぎょ)になることです」
先生「木魚だと、そうしようコースね」
種男「お坊さんが使うから、『僧使用』なんですか?」
先生「いいえ、『双子葉類』には形成層(けいせいそう)があって、茎を太くするはたらきがあるの。良い木魚になるには、茎を太くすることが大切なのよ」
種男「なるほど、制服はありますか?」
先生「根も茎も葉も、どれも魚の骨に似たデザインね。」
種男「木魚だから魚なのは分かるけど、どうして骨なんだろう?」
先生「身が注目されがちだけど、骨には根本という意味があるの。気骨(きこつ)は強い信念のことで、骨子(こっし)はものごとの要点という意味よ」種男「なるほど、僕も立派な木魚になれるようがんばります」
その夜、種男くんは魚の尾びれのような芽の出てくる夢をみた。
《 単子葉類 》
先生「種彦くんは、炭火焼きの串になりたかったのよね」
種彦「はい、ウナギの蒲焼(かばやき)が第一志望です」
先生「そうすると、たんしようコースね」
種彦「炭火焼きだから、『炭使用』なんですか?」
先生「いいえ、単子葉類には形成層がないの。太くはならないけど、まっすぐに伸びられるわ」
種彦「なるほど。制服も直線的でシュッとしていますね」
先生「そうね、いかにも粋な職人さんらしいわね」
種彦「はい、僕もひとつの道を究めたいです」
その夜、種彦くんはウナギの尾びれのような芽の出る夢をみた。
◯ 双子葉類には、2つのグループがある
《 離弁花類 》種男くんの進んだ双子葉類クラスには、2つの班があった。ラッキー班とクッキー班の2つだ。ラッキー班のテーブルには、バラ、サクラ、アブラナの3人が座っていた。
種男「みんな名前に『ラ』がついているんだね。だから、ラ付き班?」
バラ「ちがうよ、それは偶然。今はいないけど、エンドウさんもラッキー班だしね。花びらが1枚1枚離れているのが、僕たち離弁花類の特徴だよ」
説明を聞いて納得した種男くんだったが、あとでエンドウさんから「実は、わたしも平安時代にはノラマメと呼ばれていたの」と教えられた。
《 合弁花類 》
もう一つのグループクッキー班にはタンポポ、ツツジ、アサガオがいた。種 男「ポポとかツツとか、同じ音のくっついた名前が多いね。だからクッツキ班なの?」
ツツジ「名前より、花びらがくっついて1つになっていることが、僕たち『合弁花類』の特徴だよ」
種 男「そうか、アサガオさんには、ポポやツツがないものね」
と、納得した種男くんだったが、あとでアサガオから「実は、私もシノノメグサと呼ばれるときがあるのよ」と教えられた。
◯ 単子葉類は分かれない
ローカの向こうから、単子葉コースの種彦くんとランちゃんがやって来た。
種男「ランちゃんは、花びらが分かれているからラッキー班だね」
ラン「ちがうの、私たち単子葉クラスには、合弁花・離弁花という区別がないの」
種彦「それだけじゃないよ、僕が尊敬する先輩のタケさんはイネの仲間なんだって。僕らのクラスはみんな草の仲間で、木はいないんだよ。」
それを聞いて種男くんは「タケとイネが同じ仲間なのか。タコとイカも、きっと同じ仲間だね」と思った。
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